野菜八景

 

 

 

「では、行ってきます」

「はあい、行ってらっしゃい」

七瀬がこの家に勤めて1か月ほどが経った。主人の佐々木ヤヱ子は足が悪く、一人では買い物にも行けないため七瀬がお使いを仰せつかっている。その他身の回りの世話ももちろん七瀬の仕事ではあるが、外に出ないと運動不足になるからと、簡単なものは自身でこなしている。七瀬にとっても助かるので無理に仕事を奪わないように心掛け、力のいる作業や買い物を担うようにしている。特に庭の手入れは手がかかり、一日の大半をその作業に費やしているが終わりが見えず、こればかりは専門の業者の手を借りてもいいのではないかと七瀬は考えているが、ヤヱ子もそれについて何も言わず、かといって自分から提案することでもないためそのままとなっている。
ヤヱ子は去年夫の浩勝を亡くし、二人でも広すぎるくらいの戸建て住宅に一人で住んでいた。息子夫婦は郊外に家を持っており、ここからそれ程離れているわけではないが、顔を見せることはほとんどない。少なくとも私がこの家に来てからは一度も姿を見せていない。ヤヱ子の意識から察するに息子の嫁である和美が家に行くことをひどく嫌がっているようだった。理由は年季の入ったこの家屋にあり、その古びた設備が不快感をもたらしていた。特に洗面所と便所、タイル張りの壁に陶器がむき出しになっているのが公衆便所を想起させるらしい。少し前までは当たり前だったはずで、そもそも和美も幼い頃などは同じものを普通に使っていたのではないかと思うが、一度様式が変わってしまうと個人の感覚も変わってしまうものなのかもしれない。七瀬はもっと劣悪な環境を経験してきたこともあり、さほど今の環境は気にならない、使い込まれている箇所の消耗は見られるが、掃除は行き届いていて、清潔感は保たれているのでむしろ快適なほうだ。しかし、和美にとって清潔かどうかはもはや問題ではなく、ただでさえ居辛い空気に加え、おんぼろ屋敷で過ごすことが耐えられないのである。
ヤヱ子は家族が会いに来ないこと、またその理由が古びた家屋にあることを知っているが、それを特に気にする様子は無く、家の改装なども一切考えていなかった。それは愛着を持っているから、などという理由ではなく状況が変化することを受け入れられなかったからであった。
年を取ると思考のパターンがある程度固定されていく場合があるが、ヤヱ子は特にその傾向が強かった。長年の経験に従って無意識に形成される規則は、最初は合理性を重視して組まれたものだったのかもしれないが、徐々にその仕組みそのものを絶対と捉えるようになり、それが合理的かどうかなどと言った問題を無視するようになる。ヤヱ子はそうして築き上げられたパターンに従って生活しており、そこから逸脱することを殊に嫌がる。怠慢ともとれるが、実際そうした生き方が楽なことも事実である。

「お刺身は国道沿いのスーパーA、納豆と卵は薬局B、茶菓子とタバコはガソリンスタンドの隣、元鈴木商店だったコンビニエンスストアC、魚はその手前にあるD、肉は商店街のE…」

その弊害ともいえるが、こうして七瀬もそのパターンに従って買い物を遂行しなければならない。たとえAのほうがBよりも安く卵を売っていたとしても、ヤヱ子はBで卵を買うことを選択する。順番としては確かに行く道に沿っているが、それも永久不変ではないし、移転や改装、店自体が別のものになることもある。それでもこのパターンは絶対なのだ。唯一閉店は仕方がないので別の店で補うことになっている。最終的にすべてがAに集約されたとしても、ヤヱ子ならB、Cの道順に巡ってから家に戻ってくるに違いない。もちろん、七瀬がどこで買い物しようとヤヱ子がそれを確かめるすべはない。ヤヱ子には嘘をついても見透かされてしまうような気がしたのもあり、七瀬は良心に従い、決められた場所で決められた品目を買うように心掛けていた。

今までの家庭においてもそうであったが、こうした買い物の時間が七瀬にとっては楽しみのひとつであった。家政婦としての仕事、そして家庭内の淀みきった意識の渦から解放される数少ない瞬間である。
買い物客の頭の中は大抵、買い物メモのようになっていて必死で必要なものを忘れないように頭の中で唱えていることが多い。そして、目的のものが手に入った瞬間にその品目は頭から消え、次の品目を唱え始める。
生鮮食品が並ぶ棚の前で人々は野菜、魚、肉のことを考える。その様子は七瀬にとって面白く、また、人間が他人のことばかりに気を配っているものではないと思い、安心する。スーパーにおいて、人々の意識は野菜と繋がっている。一時的にではあるが、自我の一部が野菜となっていると言っても過言ではないのである。

バラ売りの野菜が詰められた段ボール箱の前では大学生くらいの若い男性がじゃがいもを手にとっては戻す動作を繰り返している。
(上から見た感じだとコイツだったけど、手に取ってみるとなんかしっくりこないな…そうするとこっちの小ぶりなほうがいいかも。でも数買わないんだったら大きめのほうがいいかな。大きめだとコイツか…?)
男は見た目の良いじゃがいもを探しているらしい。
(あ、このじゃがいもすごいエッチな形をしている。でもエッチな形の野菜は避けておいたほうがいいか…いや、別に形のエロさは味に関係ないか。そもそも形なんか味に一切関係ないけど、なるべく美しい形状のものでないと自分としては納得いかないんだよな…なんか青いやつは避けた方がいいんだっけ…)
こんなにはっきり説明してくれるケースも珍しいが、男は形の良いじゃがいもを求めていた。この男には何度か遭遇したことがあるが、どの野菜でも彼の審美眼にかなうものでないといけないようであった。
(よし、小ぶりだけどこのじゃがいもと、逆になんかエッチな形のコイツを買うとしよう。…あれ、あのぐるぐる巻きの薄ビニール袋…ああ、あっちの人参のほうから持ってくるしかないか。いやしかし、この人参もとてもエッチな形をしている…)
まあ、野菜をエロい目で見るくらいなら可愛らしいものだろう。表に出てこなければいいけれどエッチだとかどうかという表現は気色の悪いものだ。あと、あのビニール袋は他の場所から持ってきて良いものなのだろうか。良いなら良いのだけど。

人参の詰められた箱の向かい側にはカットされた袋詰めのサラダが陳列された棚があり、そのうちの値下げシールが貼られた一つを見つめる男性が居た。作業着姿で、顔は少々やつれていた。
(ああ、安いほうは消費期限が今日だから袋の内側にびっしり水滴がついてしまっている。でも横にある消費期限明日までのやつも同じくらいびしょびしょだし、値引きのほうにしよう。というか、お金ないんだからこれくらい全然妥協しないとダメなんだよなあ)
「失礼します。」
男が決意を決めた直後、若い女性の店員が目の前に割り込んで値引きシールの付いた袋を手に取り、裏と表を確認して元の棚に戻した。
「失礼いたしました。」
(ああ、なんかめっちゃ買いにくくなったな。なんで一回確認したんだ。ギリ行けるかどうかみたいな判断?それなら廃棄でもよかったんだけど。人が一回触ったやつあんま無理なんだよな。それに女性店員さんが触った直後のやつ手に取ったらそういう、変態だと思われるかもしれない…)
男は仕方なく値引きシールの付いていない、袋の内側が水滴でびたびたのサラダを手に取り、カゴに入れた。気持ちはわからなくも無いが、別に誰もそこまで気にしていないと思う。触ったやつが無理なら、その時点で無理だったのかもしれない。

葉物野菜コーナーの前で上下ジャージ姿の女性が立ち止まっている。
(豆苗の切ったら生えてくるやつ一回やってみたかったんだよな…)
どうやら豆苗が気になるらしかった。
(思ったより量多いな…もしそんなだった場合もう一回生やすどころじゃないしやっぱやめとこうかな。いやでもお金もないしそんなこと言ってる場合じゃないか。…うーんいややっぱ思ったより多い、中華料理屋やるわけじゃないし、中華料理に豆苗って使うのかな。それにしてももっとこう幅取らない感じのやつないかな、あ、え、何これスーパースプラウト?これ良くね?あーでもえ?なんか一本一本が細すぎない?食った気するこれ、あ、え?しかもなんかよく見ると根本気持ちわる!ちょっと待ってそしたら豆苗も?豆苗も気持ちわる!そうだあとこれ切った直後の状態も鳥肌立つくらいキモいんだよな~。あーでも切った後生えてくるの見てえーー。)
もう、やめてしまえばいいのに。彼女はまだ悩み続ける様子だったが、七瀬は一旦その場から離れることにした。

(あ、カニなんて置いてあるの珍しい。いや、カニに構ってる場合じゃないわ…なんかカニカマみたいになってるな…それこそどうでもいいんだってば)
(パン♪パン♪パン♪パン♪パンパパン♪パパパン♪パパン♪パン♪パパン♪)
(235…≒253、318…≒343、410≒442、388….≒419)
(あ、え?パン安…いやこれ5枚切、アイツ絶対殺してやる…こういうのって無くなったタイミングで補充してるのかな、卵忘れて、ああ、明日箱ごと捨てなきゃ…)
(エビが入ってないやつエビが入ってないやつエビが入ってないやつ、これエビ、入ってるんかいな…あ、入ってるんかいな…)
(10個じゃ足りないかな…ああ、総菜コーナー周りの床めちゃくちゃ油で滑る…今靴の裏どうなってるんだろ…2パックくらい買ってくか…)
買い物に慣れている主婦は一つの棚にとどまることが少ない。頭の回転も他の客と比べて速く、また次々と思考が浮かんでは消えていくようなパターンが多い。七瀬はシステマティックな思考の持ち主の主婦が一瞬何かに気を取られてその思考が乱される瞬間が好きだった。

(あの青のチェック柄のネルシャツの男性、あまり見かけないから要注意ね…)
店内で買い物客でも、店員でもない、異様な意識の波動を放つ人が一人紛れている。
(トートバック肩にかけてるでしょ、最近マイバッグ持ち歩いてる人多いから余計わかりにくくなって…あ、さっきのアイツちょっと怪しいね、近づいてみます、バレないよう、自然に、私はドレッシング、私はドレッシングじゃない笑、ドレッシングを買いに来たの、でも本来の使命も忘れずに、それとなく彼に意識を配るの…)
一般に万引きGメンと呼ばれる、客に紛れて万引きを取り締まる私服警備員である。万引き件数が増加しているのか、運営会社によってそういった規定があるのかはわからないが、七瀬が今まで通っていたスーパーには必ず一人は万引きGメンが居た。特にこのスーパーの万引きGメンは異質であり、完全に周りから浮いていて、全然目立ってしまっていた。髪にはパーマを当てていて耳には真珠のピアス、黒のインナーに赤のぬらっとした光沢のあるジャケット、首には花柄のスカーフを巻いている。時代が20ほど年前で、ここがスーパーではなく百貨店であればそれなりに自然であったかもしれない。彼女は昔ドラマで木の実ナナがやっていた万引きGメン・二階堂雪を意識しており、七瀬はそれを確信していた。七瀬の能力が無くとも、わかる人には多分木の実ナナだということ、そして万引きGメンだということがわかるくらいの異様さであった。万引きGメンかどうかは逆にわからないのかもしれない。また、密着取材が付いているわけでもなしに、彼女の頭の中では常に実況が行われる。
(あ、今盗るよ、盗る、これは確実にいくね、…はい、今完全に盗りましたちょっと様子見ましょう、他の買い物もしてるけど、それはちゃんと精算するみたいですね、あ、今店出ますね、行きます)
「すみませえん、ちょっといいですかー?トートバッグ、うん、トートバッグの中身見せてもらっていい?うん、そう。
……あれ、おかしい、ない、ないみたいねえ…うーん…
ごめんなさいね、勘違いしてたみたいで、うん、あ、うん大丈夫です、すみませんねえ。」
彼女は目立つだけでなく、Gメンとしての腕もそこまでであった。今回は見間違いであったが、七瀬は何度か実際に万引き犯が犯行に及ぶ際の思考を覗き見たことがある。それはほとんど無意識といっていいものであり、Gメンの意識によって始めてその犯行が行われたことが七瀬にもわかるほどのものだった。一度覚えると癖になるというのは聞いたことがあるが、それが実際、呼吸をするかように、当事者の意識の外で行われていることが七瀬にとっても興味深かった。
(さて、気を取り直していきましょう、…ちょっと、あのほっかむりで荷車押してるお婆さん、怪し…)
七瀬はポンコツ万引きGメンの意識の流れを締め出した。

通路の真ん中で縦長の棚の短辺に配置されている見切り品を眺めている男性がいて、七瀬はそれを避けて通ろうとした所、前からも買い物カゴをもった中年男性が歩いてきたため、一旦見切り品の棚とその手前の棚との間に隠れる形で停止した。こういう場合、七瀬は最初からこの、レトルトカレーの棚を見に来ましたよ、という顔をする。
七瀬が横に位置をずれるとその後ろから段ボールを4段積んだ台車が迫ってきた。
(絶対最終的に特にこれといって大したものないから買わないけど一応何あるかだけ見とくか…)
(邪魔くせえなあ…)
「うしろ失礼しまーす(うしろ失礼しまーす)」

「ンフッ」
頭の中でも発言の内容をそのまま話すタイプの店員が七瀬にとっては可笑しかった。

 

 

 

 

 

 

*****

連休です。みなさんは連なっていますか?それも、串だんごのように。
新しい人また入ってきて話す機会あれば全然人見知りなので普段こちらから話しかけることは無いみたいなことを言おうと思ってでもそれはダサすぎるので実際言わなかったのでそういえば最近人見知りだということ自体意識しなくなってたのを思い出しました。もしかして直ったかと思ったけど全然道で一回合った近所の人と帰り会いたくないし、トイレ行くタイミング被りたくないから全然我慢してるし、給湯室で人に会いたくないので一切休憩取らないので、そういうのは、もう直らない気がします。

何か見るとそれにまつわる不祥事とかどうでもいいニュースのほうが先行して想起されてそれがノイズになるみたいなのがあって、最近だとファイトクラブに影響を受けた小島瑠璃子さんがマッチョに何か言って怒られてたなとか、小林旭さんを見て生放送中にきちがいって言ってたなとかを思い出しました。小林旭さんに関してはその関連で小倉唯さんも自動的に思い出されることになります。
全然言うだけなら言う人は全員言ってるだろと思うけど、TPO的な話もあり、また、全員は言って無いと思います。
実家帰ると全然そういったワードが飛び交ってるのは不思議な感じがあります。マイクタイソンがサメと闘う映画でマイクタイソンが放送禁止用語連発して自主規制音鳴りすぎてモールス信号みたいになってました。小島瑠璃子ファイトクラブという、小島瑠璃子さんの冠番組があったら、いいと思います。

プリンセスプリンセスの「Fly Baby Fly」という曲に「武器のない時代の戦友みたいだよね」という歌詞があって、最初「戦友」が聞き取れなくて何言ってるんだと思って、それで「戦友」とわかったあとも結局何言ってるんだろうと思って引っ掛かかります。友達と喋ってて「私たち武器のない時代の戦友みたいだよね」と言われても「うん(?)」となると思う。これ言うとしたら武器のある時代で、急に戦乱の時代になるのも変だし、武器のある時代はもう戦う時武器使うから変な感じするのかもしれないです。自然にこの文章が使われるとしたら武器が生まれる前後を生き抜いてきた人とかが武器出てきたあとに武器無かった時代を振り返って懐かしむとかになるので、それもあんま感情移入し辛い。この曲の時代背景が現代じゃないとしてもあって大航海時代とかな気がします。前後の歌詞とか見た感じ雰囲気で言ってるだけの可能性もありますが、今は=拳で語り合いましたよね みたいなことだと思って納得しています。そう捉えると、比喩としてわりと面白い表現に見えてくるような気もします。これはまるで、武器のない時代の戦友みたいですね。

なんかで検索した時に出てきたyahoo知恵袋が面白かった。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13277699973

質問者もどうしようもないけど、それに対する回答が辛辣で、でもなんか少しかっこつけてる感じがあるのが良いと思います。一人がナイス!しているし。また、「こんな忙しい時期に自己中すぎんだろ。」でもいいところを「自己中すぎんだろ。」を前に持ってきて改行してから吐き捨てるように「こんな忙しい時期に」と言ってることで妙な余韻が生まれています。この人回答者の直属の上司で呆れている?ようにも見えるし、本当にそうだったらすごいと思います。

https://comic.pixiv.net/viewer/stories/11827

寿司虚空編の雛壇(ふぃっしゅ数)の回の最後のページかっこよかったなと思って見返してました。ギリギリ単行本に収録されてなかったけどまだWEB上では公開されててよかったです。グッズとかでもいいので何らかの形で残るようにしてほしい。

ネタチル普通にログインできなくなって落ち込んでいます。なんかサイト側でどうこうできる問題でも無さそうなので諦めるしかないかなと思いつつ、だとしたら急に復活してもおかしくないと思ってログインを試みていますが、今の所ダメっぽいです。twitterでお知らせしてくれるBRちゃん(獅子舞に噛まれている人を勝手にそう呼んでいる)が友達になってくれるのがいいところだと思ってたんですが、twitter自体が終わると全部いかれてしまうというのをあまり想像してませんでした。認証済ユーザーなら入れたりしますか?気象情報とか扱う公的機関なら無料でAPI使えるみたいなニュースが出てきましたが、ネタチルも公的機関として認めてほしい。

ヤバそうだなと思ったくらいから、終わったら自分でそれっぽいサイト作ろうかという思いがあったりしてますが、勉強しようとして4回くらい挫折してるのでとても微妙です。最初からネタチルのレベルを目指すのではなく、なんの説明もないコーナーのさらに簡易版みたいなやつ目標でできればいいなと思っていますが、時間有り余ってる時ですらできなかったので期待はしないほうが良いです。

 

絵おわり

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コミティア

2月のコミティアで買った本の感想です。

敬称略、合同誌は代表の方のみ記載してます。

 

『みぞれ』/ごうてん

ピンボールまとめ、多分私もそれに投票していた気がします。ゲームのロゴとか地味に描くの大変だと思うんですが、ごうてん氏の絵の感じと合ってていいなと思います。落書きとかでもそうですがキャラの特徴押さえたうえで自分の絵の感じだせるのもすごいです。アキラのゲーム2本あって、うち1本がそんな作る側がやる気ないピンボールなのもへーとなりました。やる気無かったわけではないかもしれません。あと今回特に難しそうなのもありましたが、毎回ちゃんとクリアまで持ってく作業も他のゲームより地味で辛そうなのに、読んでる分には楽しそうで、むしろやってみたいと思えます。
RIVERSIDEのほうについては、私も会社行く途中でスカイツリーが良く見える場所があって、そこより近づけばもっとよく見えると思って進むとそうでもないみたいなことが実際あったので共感度が高かったです。実際行ってみないとわからないことはあり、実際行っても、わからないこともあります。

『はじめてのひとりぐらし』/窓ハルカ

内容は一人暮らし生活をしていた際のエッセイ集で、一つ一つのエピソードは強かったですが、くまーめいど達?の可愛い絵で緩和されていたおかげで読みやすかったです。バナナに蛆が沸いた話見てから逆にバナナ食べようと思って、買ってきては虫付かないように速攻で食べるみたいなことをしていて自分でもよくわかりません。隣人の音の話について、昔2chのスレッドで一時間おきに窓を開けて時刻の数だけナニを出すみたいなのがあったのを思い出しました。4時に4回だけだったような気もします。よく考えたらチバユウスケさんも友達が欲しくて横浜歩き回ってたと考えると面白いし、チバさんも本当にただ歩き回ってただけだったらいいと思いました。一人暮らし実際最高ですが、慣れてくるとどうしようも無くなってくる感じもあります。

『ぐるぐる娘、その他が来る!』『河童大一番・改』/両生類

「山と渓谷」というサークル名で、少し前から勝手に気になってて今回ようやく買って読めました。どちらも面白かったです。河童大一番・改はこれで完成されてる感じがあるので、①にあたるエピソードがあるのかという驚きがあります。次①買いに行きます。河童先輩がめちゃくちゃモテるのと、それをどう処理して良いかわからないためとりあえず強い奴を求める姿勢が良かったです。鳥取砂丘で昼寝したくなりました。鳥取砂丘でなくてもよいので、そんなに蟻とかが寄ってこない芝生の上で天気のいい日に昼寝したい。
ぐるぐる娘のほうも、当たり前のように天才キャラが自分自身を10人増やしていて、どれもちゃんと個性が立っていたのがすごかったです。まともなのが一人もいないとその中でマシな奴がまともに見えるみたいなのもあり、そういうのは好きなので楽しめました。というかそいつがわりと話のキーパーソン的な存在になってたと思います。「人の心とは水を泳ぐ魚のようなもの」という台詞も印象的でした。自身の好きなものにこじつけてそれっぽい理論を展開するのが漫画の醍醐味であります。あと普通に今回描いたものが少なからずこれ読んだ影響あると思います。
名前そのまま使っていいんだ、というのも衝撃的でしたが本当に自然を愛しているのが感じられて、そこまで好きでもないうえに外した感じの名前で活動しているのが恥ずかしくなりました。逆に私も「山と渓谷」という名前にして読む人を混乱させようと思いません。

『葉が青ければ』/赤井ゆうき

この人があの人かと思って見てたら全然人違いしてましたが、内容面白かったです。2本立てで、あとジャンプ+の読み切りも読みました。あとがきで阿部共実さんの漫画の話があったりして、テーマ的にももっと踏み込んだものが来るのかとも思いましたが、どれも優しい感じのテイストで誰にでも受け入れてもらえそうな雰囲気があり、それが良かったです。無職と少女の取り合わせは描きたくなるような何かがあるのかもしれません。ここでの無職の人は完全に終わってるタイプではなく、そこそこ人生経験を積んで自分の考えを持ってそうだなと思いました。部屋めちゃくちゃ片付いてる。ので、このキャラには魔法少女や実少女の支えが無くても、もっと前向きに生きてほしいと思います。あとがきに女教師にキャラの名前考えてもらったみたいなこと書いてあったの赤井さんかと思ったけど話に引っ張られてただけで両生類さんのほうでした。女教師にキャラの名前考えてもらった、というのがどういうことなのかはわかりません。

『なまえあげる』/マシュー

ナユタ氏の命名まつわるエピソードで、それが魔王の友達によって描かれるのが良かったです。終わり方はなんか切ない感じでした。
偉めの人が気に入ってる人をひいきして従属してる人たちが振り回されるみたいなのは現実でもあったりしますが、人殺しまくっても許されることはあまりないと思うのでナイスファイトだと思います。初期のナユタ氏の服着せられてる感が可愛らしかったです。
始めと終わりの紹介も雰囲気変わってるなと思いましたが、魔王はあんま変わってませんでした。
あと今回名刺もいただいて来ました。色使いが鮮やかで、真ん中に配置されてるナユタ氏が映えててかっこよいです。

『ニイハオ、のち報復』/鎖国探偵他

チャイナドレスというレギュレーションがあるにも関わらず、冒頭の話からそれを無視してスク水ロリータケモ耳娘が出てくる異世界うなぎ屋転生漫画が展開されていて勢いがありました。うな重の描写にページの3分の2ほど費やしていて素敵でした。絶滅の危機に瀕しているウナギをめちゃくちゃ食う漫画は鉱脈かもしれません。
チャイナ服で中華を食べに行く漫画はかなりテーマに忠実で、ギリ普通に中華行きたくなる内容でした。白酒も一回くらい飲んでみたいですね。
陽來明はヤンクミでなるほど?と思いました。今考えるとごくせんって嘘みたいなドラマだったと思います。内容もいつ描いたんだと思うくらいタイムリーなやつで、それをちゃんと組み込んでくるのはすごかったです。あの気球仙台に出た時若干ワラワラしただけだったのなんか情けなすぎる。
ワンチンの漫画最初読んだ時お願いの部分が理解できなかったんですが、今見て理解しました。この先男性器が生えてくる理由で納得することはあまりない思うので貴重な経験でした。
全体を通してこのテーマなら習近平だろ、みたいな共通認識があるのも良かったです。私が勝手にずっと思っている説として、習近平下半身車説というのがあります。ニュース映像で下半身映ることがあまり無くて、唯一見た引きの映像がパレードの時車から上半身だけ出して手を振っている場面だったのでその説が浮かび上がりました。いつか検証したいです。
あと、何と言うか、全体的にやるならこれくらい徹底的にやらないとダメなんだなと思わされました。いつかそういったテーマではないですが、なんかあった時の責任を自身は一切取らない形にして、もっと自由な雰囲気の合同誌とかやってみたいと思います。

『ギャグ漫画なのに18禁ですの?』/田滝ききき

ブース行ったときテープで継ぎ接ぎになった小銭入れの紙の箱を見て、まずそこで勇気をもらえました。あと、あとがきページが先頭に来ていて、全然商業で書いてる人でもこんなあり得ないミスをするんだと思い、かなり好感が持てました。
内容はタイトルの通り18禁のギャグ短編で、全然性器が露出していました。お嬢様がトロンボーンの稽古をするという描写があり、その後のネタのためとはいえお嬢様がトロンボーン演奏するイメージ無さすぎて面白かったです。やっていることはひどかった。仕方ないなあみたいな感じで服を脱ぐ執事も良くてもう少しこのシリーズ見たいです。お嬢様漫画もそうですが、百合風の何かの漫画も何かジャンルごと舐め切ったような感じが逆に良かったです。私もそういう節があるので、怒られない程度にやっていきたいと思います。一番最後のコマは本物の雰囲気ありました。

 

全体を通して、私は人が書いたあとがき読むの好きなんだなと思いました。自分でも書かないし、サークルの人も恥ずかしがってあんままともに書かないですが、みなさんはちゃんと書いてください。先頭と最終ページのどちらにも書いてもらっても構いません。

以上、あとがきでした。

 

コミティアおわり

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描いたやつ

白板
白板

なんでここに先生が!?
なんでここに先生が!?

4コマは描けます。(STAP細胞もあります)
SMAPがSTAP細胞もありますの略だとしたら、どうですか?

合同誌の棚卸ししながら過去のものを読み返してたら普通に面白かったです。警察署長にいつもお世話になってますと言う所で笑ってた。多分今読み返すのが一番丁度面白いタイミングだと思うので、一度読んだ人も、読んだことが無い人も、漫画を知らない人も、パパも、ママも、お兄さんも、お姉さんも、お隣さんも、ソン・ガンホさんも、風見しんごさんも、宗茂さんも、猛さんもぜひ、読んでみることをお勧めします。

人間以外の動物で人間が持つような意味での生きがいがあるの珍しいと思う。

 

描いたやつおわり

*****

ニードルレーベル

ニードルレーベルです。高畑勲さんの火垂るの墓インタビューと今回の合同誌新刊はありませんが、次回出せるかどうかわかります。
雑誌の表紙っぽいものはノリで描いたもので、こういう、文字ったりするやつ考えなきゃいけないわりにはあんま面白くならないんですが、それがいいかどうかは別としてやっている間だけは楽しい気がします。
次回のテーマすら決まってなくて、それを前向きにとらえると今からどんなテーマでも描けるということです。これからの人生は、前向きに生きていきたいと思います。

個人的に書いたやつについては、ラブコメと言いつつラブコメではないパターンみたいなのありますが、そうではない可能性もあり、自分でもよくわかりません。せっかくなので少年マガジンに持ち込みたいと思います。
前回35pでコピー本作ろうとしてセブンの小冊子プリントが32pまでしか対応していないことが判り大変なことになったので、ページ数少ないですが印刷所にお願いして製本しました。というか今回すごい人が多すぎて、かつ自スペース周りもすごくて浮付いています。どさくさに紛れて持って行ってもらえるととても助かります。
今考えると前回よくコピー本できたと思います。そのうち前回のやつにページ足してちゃんと製本するやつもやる予定で、それもどこかで出すかもしれないです。

 

ニードルレーベルおわり

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なんでも

安達祐実さんが恐竜としていたのはピクニックでした。REXを観たのでわかります。
前半わりとリアル路線で良い感じだったのが後半一気にエンタメに振っててそれはそれで楽しかったと思います。
恐竜だと育てた動物を里へ返す的な展開どうなるのかと思ったらムー大陸を存在させてそこに返すという力技を行っていたのも良かったです。
安達祐実さんがオーザックを食べていて、私も食べたくなって探したんですが今普通に売ってなくて、ローソンのPBのやつ食べました。
しょこたんさん、ご結婚おめでとうございます。ニュースに対し、嬉しいか、そうでないかと訊かれると、丁度どちらでもないです。

 

バスタオルのお店 バスタ新宿

え!安達祐実さんが恐竜と!?←何?

イケメンホストが占領している島

書庫たん(書庫のゆるキャラ)

 

なんでもおわり

*****

 

 

「滝川さん、交代お願いします。」

「はい」

七瀬はこのレジ番交代のタイミングで鍵か何かを受け渡している場面もなんとなく好きであった。

「そしたらよろしくお願いしまーす(よーし、他人の、特に嫌いな人を仮想敵と設定して、その人の落ち度とか欠点を今までの行動から洗い出して、嫌われるに足る原因が確実にその人にあることを確信して自身を納得させるとともに、自己を正当化して安心するやつやるか~)
そうした心理的な機構自体はあると言われているが、自ら意識的にそれを行おうとしている人間を七瀬は見たことが無かった。

「長ネギが1点(長ネギが1点)、玉ねぎが3点(玉ねぎが3点)、豆腐が1点(豆腐が1点)、お刺身が2点(お刺身が2点)…」

交代した店員は先ほどの、全ての思考が発言に出てしまっている、もしくは発言に合わせるように思考を行っている男性だった。しかし先ほどのような短い単語のレベルであれば笑い事で済んだが、ここまで全く同じだと七瀬にとっても気味が悪かった。ずっと聞いているとこちら側の気が狂いそうだったが、それが一体どういう仕組みなのか、なぜそんなことになっているのかが気になるため七瀬は中々掛け金をおろすことが出来なかった。

「…食パンが1点、計3,528円になります(食パンが1点、計3,528円になります)

…4000円からお預かりします。472円のお返しになります。ありがとうございました。(4000円からお預かりします。472円のお返しになります。ありがとうございました)」

店を出ると同時に、七瀬は掛け金をおろした。本当に思考と発言に差異が無いのだとしたら、七瀬の能力は全くの無駄ということになるからだ。
それを認めたくはなかったが、彼にばかり執着しているわけにもいかない。

「…あら、いけないわ」
七瀬はスーパーAで買うはずの牛乳を買い忘れてしまっていた。思考全漏れ男に気を取られて気が付かなかった。
仕方ないので七瀬はBの薬局で牛乳を調達することにした。スーパーAに戻っても良かったが、なるべくそれは避けたかった。買い忘れの品があり、再び戻った際の店員の反応が七瀬には手に取るようにわかってしまう。それに、あの気味の悪い男性店員にも出くわしたくは無かった。ボロが出るのを待つにはそれなりの覚悟が必要だ。
ヤヱ子には規則から外れた行動を取ったことを正直に話すことにしようと決めた。

 

「しかし、先ほどの女性客、年上だろうか、とても綺麗だった。(しかし、先ほどの女性客、年上だろうか、とても綺麗だった)

…いえ、失礼いたしました。なんでもないです。(…いえ、失礼いたしました。なんでもないです)」

 

 

 

 

おわり

 

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